MJ-3500 アバロントリム追加加工

Before

After

購入当初の状態。
あるはずの指板周りアバロントリムがありません。
指板も下まで伸びたまま。
画竜点睛、と言いますか、どうやらモーリスの手工職人横山氏が入れ忘れ、そのまま完成させてしまったようです。
このままでもとてもきれいなギターですが、やっぱり面白くない(笑)。
手工モデルだろうがン十万円?だろうが、お構いなしに作業開始。
結果はやってみないとわかりません^^;
手始めにピックガードを剥がします。
パレットナイフを細い部分から差し入れ、浮いてきたらジワジワと剥離。
幸い曲がりもせず、再利用可能な状態に。
PGの裏のテープは剥離剤で完全に取ってしまいます。
PGのない状態も、カッコのいいものです(^^)
これから20F下の指板を惜しげもなく切り落としてしまいます。
ついに指板を切ってしまいました^^;
指板のトリムが入る部分は削っています。
鋸の扱いを誤り、トップの塗装面に傷が・・・余計な仕事が増えました(T_T)
それはさておき、とりあえずトリムが入る部分を彫ります。
ここでまたまた失敗発生。
指板真下のトップ材が、少しひしゃげてしまいました・・・^^;
凹んでいる場合ではありません、何とか直す方法を考えないと。
彫った際の部分の塗装も毛羽立ってしまっていますので、どちらにしてもこの周りだけはラッカーを吹き付けないとダメだと思います。
大きな貝が入っている部分も、もちろん遠慮なく削り取ります。
硬いのでなかなか思うようには行きませんが・・・。
とりあえず仮に周りのセルだけをはめ込み。
貝の代わりにアクリルのダミーをはめて、間隔を見てみます。
セルのつなぎ目もなるべく自然に見えるように細工。
失敗箇所はさておき、うまくいきそうな感じですが・・・。
いよいよセルとアバロンの埋め込み接着作業。
エポキシ系の接着剤に黒の色粉を混ぜ、溝に塗り込み最初にセルの外枠をはめ、次にその間にアバロンを挟み込むようにピンセットで埋めていきます。
もちろん、事前にちゃんとはめ込まれるように形を整え、隙間なく埋められることを確認してから接着作業に入ります。
問題は接着剤が真っ黒で、埋め込み状況が把握出来ないこと。
溝が深いところには埋没してしまうし、削るまで結果が見えません^^;
早くしないと接着剤が固まり始めるし、いつもながら手やピンセットはベチャベチャに汚れるしで、難儀な作業です。
とにかくすべて埋め込んだら、翌日まで乾燥するのを待ちます。
上手く行っていますように・・・。
乾いたところでペーパーで荒削り、段差をなくしていきます。
ペーパーでは間に合わない部分は、彫刻刀で接着剤を除去し、アバロンを露出させます。
何とかいい感じ、のようですが・・・^^;
取り合えず埋め込み作業は完了、しかしこれで完成、というわけにはいきません。
次に今回の作業で傷ついたボディの補修と、加工面を整え塗装する作業に入ります。
それにしてもかなり薄い塗膜で、傷つきやすくやわらかいところからも、このギターがラッカー塗装であることがわかりますね。
先の「トップのひしゃげた部分」は木工パテを盛って着色。
指板のトリムもメイプルの板で塞ぎました。
傷の付いた部分や、切削時に浮いて白くなった塗膜をカモフラージュするために、艶消しの黒で補修。
艶消しのラッカーも、傷を消すための研摩でテカっています。
この作業もいよいよ「塗装」という大詰めを迎えることになりました・・・。
果たして、元に戻るのでしょうか・・・?^^;
いよいよトップのオーバーラッカー作業。
まず最初に、塗らない部分は完全にマスキングを施します。
削った部分を重点的に、また不自然さがないように全体を見ながら吹き付けます。
ラッカーペイントはアクリル配合のニトロセルロース系、缶スプレーですがお湯で温めてやると内部の圧が上がり、噴霧がより細かくなるので、あとは塗り斑が出来ないように均一にスプレーすることを心がけます。
一度に厚塗りせず、乾いたら表面のホコリを拭いつつ、2,3度に分けて少しずつ塗膜を厚くします。
この塗りが最終的に出来栄えを左右しますので、何度やっても気を抜くことは出来ませんね。
はやる気持ちは抑えないと・・・^^;

で、吹き付けを終えた状態が右の写真。
遠めに見れば悪くないですね^^;
このあと2,3日は様子を見て、完全に乾いたらザラつきを整えます。
翌日、思ったより乾きが早いので、細目の液体コンパウンド(実はクルマ用)をポリシングスポンジに含ませ、軽く研磨。
表面のザラつきはホンの少しだけ残して、付着したコンパウンドを中性洗剤で洗い落とす。
ピックガードに両面テープを貼り付け、場所を慎重に選んでボディに接着。
最後に全体をオレンジオイルでコートし、乾いたウエスで乾拭きし、弦を張ってフィニッシュ。
述べ1週間ほどの作業、よく見れば多少の不自然さは否めませんが、何とかベーヤンモデルのレプリカっぽくすることが出来ました(^^)
勉強させてもらったことは、横山氏に感謝すべきでしょうか・・・?(爆)